「レジ帯」、「サポ帯」、ぼくが書くFXの記事の中にはこれらのワードがよく出てきます。
「レジ帯」、「サポ帯」はエントリーのタイミングを計る重要な考え方なので、ココで詳しく説明します。
レジ帯・サポ帯を一言で説明すると
レジ帯・サポ帯を一言で説明すると・・・。
チャートで見てみましょう。
レジ帯
これがレジ帯です。レジスタンス帯を略しています。
普通はレジスタンスラインと言いますが、「帯」はラインを太くした形で、ここら辺一帯という意味です。
突然ですが、逆三尊というチャートパターンをご存じでしょうか?
下降から上昇に反転する、転換のチャートパターンとして有名ですね。
逆三尊の完成を予想して、右肩(図の赤丸)でロングをする人が多いです。
では、もう一度レジ帯の図を見てみましょう。
そうです。これは逆三尊が失敗した形です。
逆三尊が否定されたとも言います。
逆三尊の右肩(図の赤丸)でロングした人達が含み損を抱えて捕まっています。
上の図の場合、ショートを狙いますので、逆方向(ロングポジション)が溜まっている一帯をレジ帯と呼んでいます。
サポ帯
これがサポ帯です。サポート帯の略です。
普通はサポートラインと言いますが、「帯」はラインを太くした形でここら辺一帯という意味です。
次の図はダブルトップのチャートパターンです。
上昇から下降に反転する、転換のチャートパターンの代表格です。
ダブルトップの完成を予想して、右肩(図の赤丸)でショートする人が多いです。
ではもう一度サポ帯の図を見てみましょう。
そのとおり、ダブルトップが失敗した形です。
ダブルトップが否定されたとも言います。
ダブルトップの右肩(図の赤丸)でショートした人達が含み損を抱えて捕まっています。
上の図の場合、ロングを狙いますので、逆方向(ショートポジション)が溜まっている一帯をサポ帯と呼んでいます。
プロスペクト理論とは
プロスペクト理論とは、人間の行動がいかに不合理なのかを証明した理論で、一言でいうと以下のような感じです。
人には損失を極端に嫌がるという性質があるのです。
みなさんも経験があると思いますが、含み益がでたら伸ばせずにすぐ利益確定してしまい、含み損がでたら、損切りできずにズルズル持ち続けてしまうアレです。
分かりやすく説明するために、プロスペクト理論でよく使われるテストをしてみましょう。
A:何もしなくても5万円もらえる
B:50%の確率で10万円もらえるが、50%の確率で何ももらえない
こちら期待値はAもBも5万円なのですが、多くの人がAを選びます。
これが早期に利益確定をしてしまう心理です。
A:何もしなくても5万円支払う
B:50%の確率で10万円支払うが、50%の確率で支払いが免除される
こちらはAもBも期待値はー5万円なのですが、多くの人がBを選びます。
これが損切りできず、ナンピンなどのギャンブルに走る心理です。
このプロスペクト理論でいう損失回避の行動は人間の癖のため、直そうと思っても直せません。
だからこの人間の癖を利用するのです。
レジ帯・サポ帯の使い方
それでは、レジ帯・サポ帯の使い方を「人間の心の声」を用いて簡単に説明します。
レジ帯もサポ帯も使い方(考え方)は同じため、サポ帯で説明しますね。
ダブルトップが出た。ショートエントリーしよう。
あぁ、逆行した。どうしよう、損切りできない。。。
ここでサポ帯を引きます。
価格が戻ってきたら。
よしっ。含み損がなくなったー。建値で決済!
含み損を抱えていたトレーダーが、損失回避の行動として、売りポジションを建値付近で決済することにより、買い注文が入ります。
ここでロングエントリーします。
レジ帯・サポ帯を使うメリット
それでは、レジ帯・サポ帯を使うメリットを3つ説明します。
エントリータイミングが簡単
サポートライン、レジスタンスラインでエントリーする場合、よくタイミングが難しいと言われます。
- サポートラインタッチでロングエントリーしたが、そのまま下落した
- サポートラインで下げ止まるのを待っていたら、上昇していった
このような経験をされたことがあると思います。
また、最適なエントリータイミングでポジションを持ちたいため、何時間もチャートを凝視していた。ということも起こりえます。
レジ帯・サポ帯はラインではなくエリアで考えるため、「ここら辺一帯」でエントリーすることができます。
いわゆる「てきとー」にエントリーできるということです。
なぜ「てきとー」にエントリーできるのかというと、エントリーするかどうかの判断はレジ帯・サポ帯に近づいてきたときではなく、それ以前に判断しているからです。
詳しく説明しますね。
ダブルトップが否定され、価格が上昇したときにサポ帯を引くと説明しました。
この時点でロングエントリーするこを判断しています。
ただし、条件が1つあり、「サポ帯に戻ってきたらロングエントリーする」のです。
サポ帯に戻ってこなかったら、エントリーしません。
なぜサポ帯に戻ってきたときだけエントリーするのかというと、これは次のメリットでも説明する「損切幅を狭くする」ことと、「リスクリワードをよくする」ためです。
極端なはなし、ダブルトップが否定され、上昇した時点でサポ帯付近に指値をセットしておけば、チャートを見なくてもエントリーできます。
損切幅が狭くなる
例えば、サポ帯を背にエントリーした場合は、損切りの逆指値はサポ帯の下になります。
サポ帯に引きつけてエントリーするため、いわゆる逆張りエントリーになります。
逆張りエントリーのメリットは損切り幅が狭くなること。
損切り幅が狭いため、リスクリワードがよくなり、勝率がよくなくても長期的にコツコツ利益を積み上げることができます。
相場観がやしなわれる
レジ帯・サポ帯を使ったエントリー手法の最大の特徴はプロスペクト理論の損失回避の性質を利用しているということ。
FXは「上昇トレンドが出ているからロング」や「レジスタンスラインにタッチしたからショート」のように、チャートや値動きだけを見てトレードをしていても上達しません。
「大衆の期待を裏切ったからショートポジションが溜まっている」とか、「ロングした人達が捕まっている」とか、大衆心理を想像しながらトレードをすることで、勝率も上がってきます。
レジ帯・サポ帯を使ったエントリー具体例
最後に具体的なチャートを使って実際にぼくがエントリーした場所を紹介します。
2023年6月 ドル円ロング(4時間足)
まずはスイングトレードから。
こちらは、ドル円4時間足のチャートです。
①の部分でダブルトップが崩され、上昇していきました。
②の白いラインは日足のレジサポラインでもあり、トレーダーに意識されるラインでした。
ぼくは①のダブルトップが崩され、上昇した時点でサポ帯を引き、押しを待ちました。
そして、サポ帯に引きつけたところでロングしました。
エントリー後、レンジになりましたが。さらに1回サポ帯にサポートされた後上昇していき、最終的には約200pips獲得しました。
2023年1月 ドル円ショート(4時間足)
次は短期決済の例。
ぼくの場合、1時間足未満の時間軸は見ないので、基本的にはスイングやデイトレードしかしないのですが、強いレジ帯・サポ帯の場合は、たまにスキャルピングもします。
こちらも、ドル円4時間足。
①に大きな逆三尊が形成されています。
そして、②の白ラインは2022年8月につけた日足の大きな押し目で、強く意識されるラインでした。
週足や日足の環境認識では、そろそろ下げ止まる可能性もあったため、スイングトレードでのショートは打たない判断をしていたのですが、、、
強く意識される押し目を破っているため、多くのロングポジションが溜まっていると判断し、レジ帯を引いた後にスキャルピングをすることを決めました。
結果、レジ帯には若干届きませんでしたが、4時間足の上ヒゲを確認した後にショートし、上昇の61.8%落ちたところで決済しました。
まとめ
いかがだったでしょうか?
この記事では、プロスペクト理論を応用したレジ帯・サポ帯エントリー手法の解説をしました。
最後に注意点として大事なことをお伝えしておきます。
レジ帯・サポ帯の根拠だけでエントリーすることは危険です。
上昇トレンド中のわずかな調整押しのときに、レジ帯が出たからといってショートしても失敗するでしょう。
上位足の環境認識を行い、エントリー根拠が複数重なったとき、根拠の1つとしてレジ帯・サポ帯を使うと上手くいくと思います。
また、5分足や1分足など短期足ではノイズが出やすいため、レジ帯・サポ帯の信頼性も低くなります。
そのため、より大きな時間足でのレジ帯・サポ帯を使ってトレードすることをおすすめします。